初めに知って頂きたい審美のこと

最近は1日で終わる審美歯科(1DAYトリートメント)であったり、1日で終わる矯正歯科（セラミック矯正）などを目にする機会が増えてきました。

確かに治療にかかる日数（時間）の短縮は患者さんにとっては大きなメリットであることは間違いありません。では審美歯科の治療において重要な機能性や審美性はどうなのでしょうか？

宮本歯科での光学印象と院内用の歯科CAD/CAMシステムによる審美治療は、導入テストの結果、私の求める品質(適合精度および審美性)を満たせませんでした。このため宮本歯科では、自由診療で提供する診療サービスとして不十分なレベルと考え、2024年12月現在導入しておりません。

審美とは何か？

ひとくちに審美歯科と言っても自分の歯の歯並びや形を整えたい方、金属で治療した歯、変色した詰め物を自然な白さにしたい方など、十人十色です。セラミックでお作りする白い歯の治療で最も大切なのは、事前のコンディショニングと準備です。

審美歯科とは機能的に優れた美しい歯並びと、歯そのものの色や形の調和だと考えています。まず始めにお伝えしたいのは「天然歯に勝るものはない」ということです。かみ合わせや歯並びを整えるための理想としてはご自身の歯を活かした（残した）、美しい歯並びに整える矯正治療を提案しています。

そのうえで矯正治療を選択しない場合や金属を白い歯に置き換える場合はセラミックで審美歯科治療を進めることになります。私たちは審美性に優れた白い歯を手間を惜しまず丁寧にお作りすること、そしてその歯と患者さんのお口の5年後、10年後を考えた機能的な審美歯科治療こそ歯科医師の責任だと考えています。

宮本歯科では審美歯科治療前の正しい歯周コントロール、基本に忠実なワックスアップ模型による治療イメージの共有、プロビジョナル(仮歯)による適合確認、質の高い技工所の選定、技工物の最終調整と丁寧なセットアップ、すべてのステップに院長が関わり責任をもって審美歯科治療をおこなっています。

基本に忠実に、手間を惜しまない審美歯科

特にセラミックの審美歯科治療を始めるにあたって大切なことは、まず歯ぐき(歯肉)のコンディションです。歯周病で歯肉が腫れていたり、出血していては決して美しい審美歯科治療はできません。

お口の中を再現する模型は審美歯科の基本です。その模型上で機能的な噛み合わせ、また審美的な美しさをシミュレーションして患者さんにご説明しながらクラウンやインレーを製作していきます。歯ぐきが腫れたまま歯型取り(印象)をして進めたらどうなるでしょう？後から歯ぐきが引き締まった時、治療したセラミッククラウンと歯ぐきに「すき間」が生まれ、見た目だけでなく二次虫歯などのリスクに繋がります。

歯ぐきのコンディショニング、噛み合わせ、また習癖（何年もかかった作られる無意識な癖）をリセットする意味で、精密なプロビジョニング(仮歯)を用いた治療計画を進めることもあります。

女性に限らず目立つ前歯を白くて綺麗な歯にしたいという方は多いと思います。前歯には食べものを噛み切る役割だけでなく、しっかりと前歯が噛み合うことで奥歯に掛かる負担を軽減する役割もあります。この噛み合わせ（アンテリアガイダンス）を正しく機能させることで奥歯や顎の関節のトラブルを大きく軽減して歯が長持ちするだけでなく、お口全体の健康と治療の満足度を向上することができます。

宮本歯科の審美歯科の大きな特徴は「形成」にあります。理想的な状態で採取する歯型と精密な模型、模型上での設計とデザイン、そしてセラミックを最終的に被せる歯台形成に手間を惜しまず、時間をかけて丁寧に取り組んでいます。
審美の基本と言える機能性と適合(調和した美しさ)は、審美歯科治療を成功させる大きなポイントです。職人仕事は段取り八割と言いますが、審美歯科も準備がすべてです。

ココロとカラダが変化する審美歯科

重ねてお伝えしたいのは目先の見た目だけを整えた無理な審美歯科治療によって歯周病、不正な噛み合わせなど様々なお口のリスクを高めてしまうこと。これだけは間違いありません。

どんな歯を治療するときでも機能的かつ審美的に治すことが必然と考えています。

綺麗な歯並びや白い歯は、より明るく美しい笑顔に繋がります。なによりココロ(精神面)への影響も大きく、歯や口元のコンプレックスを取り除く事で性格的にも、より明るく積極的になる方が多くいらっしゃいます。私たちは審美歯科治療が、その方の生き方を変える大切な治療だと考えています。

同時に見せかけのきれいな歯並びや一時的な美しさにとらわれ、本来の歯が持つ機能を失ったり、損なったりする事は絶対に避けなければなりません。長く安定した審美性（美しさ）を保つためには、その歯が歯周病などの無い健康な歯周組織の上にあり、噛み合わせが整っている事が極めて大切です。噛み合わせは顔、首、肩…とカラダのバランスにつながっています。機能性を伴わない審美歯科治療で、からだに不調をきたしては笑顔もいつしか曇ってしまうことでしょう。

宮本歯科は「いまだけ綺麗な審美歯科治療」でなく、「これからずっと綺麗な審美歯科治療」を大切にしているからこそ、患者さんとしっかりお話しをし丁寧に治療を進めています。

歯科治療に「早い・安い・巧い」はありません。

近年は、光学印象とよばれる口腔内スキャナーや、CAD/CAMの活用でセラミックのインレーやクラウンなどが、初診当日にセラミック治療することも可能になりました。

歯科のデジタル化は患者さんにメリットをもたらす一方で、早さと安さを優先し過ぎたことで新たな問題を生みだしました。歯科治療の本質は治療した歯を長持ちさせる高い治療精度、そしてより美しく違和感なく自分の歯に馴染む高い審美性です。特に自由診療の審美歯科で患者さんが期待している「高品質な歯科治療」から、早さと安さをだけを求める歯科治療では遠ざかってしまう局面があります。

宮本歯科は患者さんの利益となる歯科のデジタル化は積極的に進めますが、1DAY トリートメントは導入テストの結果、私の求める治療品質を満たせず、患者さんに責任をもって提供するレベルと判断できないため、宮本歯科では2024年12月現在導入しておりません。